株式会社イノベスト
Draw your mind
アイディアを引き出し、描こう
第1号 リーダーシップに唯一の正解はない。
重要なのは「さて、どうする?」を考えること
目次:
1.考えることの重要性
2.リーダーシップ・キャラバン2022初日
3.ワークへの戸惑い
4.さて、どうする?
5.ハマりやすい落とし穴
6.難しいワークは問題か?
7.一石二鳥、三鳥を狙いにいく
8.困難こそチャンスになる
皆さん、こんにちは!
リーダーシップ・キャラバン2022、レポーターのいまりです。
今回は、”リーダーシップに唯一の正解はない。重要なのは「さて、どうする?」を考えること”をテーマに、キャラバンを見ていて特に印象的だったシーンをレポートします。
考えることの重要性
私は、大学1年生から大学4年生の現在まで、様々なリーダーシップ教育の場に参加してきました。
受講生という立場だけでなく、一部のコンテンツ設計やメンターの役割を担当することもあり、リーダーシップ教育というものを複数の視点から見つめることができたと感じています。
大学生になってからよく耳にするようになった言葉があります。それは「唯一の正解はない」という言葉です。
答えを暗記していた頃からは打って変わって、「考えること」の重要性がぐんと高まりました。
けれど、世間には「正解のようなもの」が溢れている。
そのために、私たちは迷い、困惑し、自分だけの特性や心から大切にしたいと思えることを、他の誰でもない自分自身が一番信じられなくなってしまう時も当然あるのです。
だからこそ、何が大切なのか、どうしていきたいのか、私たちは考え続けなければなりません。
唯一の正解はない。きっと学びにも「これさえ会得すれば、後の人生何も問題なし!」なんてものはないと思います。
100%勝てる必勝法は誰も知らないし、誰にも教えられないのです。
『それなら、一緒に考えて実践してみましょうか』
そう声をかけてくれたのが、リーダーシップ学習機会であり、リーダーシップ・キャラバンであると感じています。
この3日間、特に学生たちは無我夢中で走り続けていました。
リーダーシップ・キャラバンにも、唯一の正解はありません。必勝法なんてものも、教えてはくれません。
けれど、学びのチャンスとヒントはごろごろと転がっているのです。
本レポートでは、過去にキャラバンへ参加した際、学生運営を務めた経験も活かしつつ、レポーターという俯瞰した視点から、新たな発見をお伝えします。
リーダーシップ・キャラバン初日
学生運営の元気で勢いのあるファシリテーションからスタートしました。
ZOOMに写る学生の表情は、まだ少し固く緊張気味。
ですが時折、ファシリテーターの話に「うんうん」と頷く様子や、学生同士のユーモアあるかけ合いに笑顔を見せることも。
緊張しながらも心は真剣に、そしてワクワクしている様子でした。
ZOOMワークの様子
そしてあっという間に、3日間を共にするチームメンバーと初対面!
自分の「お宝」を紹介するワークを通して、簡易的な自己紹介では引き出されないような「らしさ」や「キャラクター」をメンバー間で共有していきます。
単なる自己紹介タイムとして設計するのではなく、「お宝」を紹介してくださいという指示により、モノをきっかけにその人のらしさ溢れるエピソードも引っ張り出され、より多面的にメンバーのことを知る機会となっていました。
学生運営は、その効果を狙って設計したのでしょう。
参加学生にも、少しずつ笑顔が増えてきました。
ワークへの戸惑い
そして、次は「座右の銘あてクイズ」です。
こちらは、『自分の座右の銘を形作った体験を話し、聞いているメンバーは、その体験談から
その人の座右の銘を当てる』というもので、
学生運営は、『チームメンバーの考え方を深く知る&楽しむ』ことを目的として設定していました。
おっと…! これは少し、難しいワークなのではないでしょうか。
まず皆さん、座右の銘、ありますか?
人生における大切な教訓や、心に残った言葉、大切にしている価値観であれば、きっと誰しも何かしらあると思いますが、「座右の銘」と聞くと、途端にハードルが上がりませんか?
レポーターである私も、急に振られたらパッと答えられない、考えつかないと思います…。
学生はというと、やはり少々困った様子で、
「え、みんな座右の銘ってある? 私はないんだけど…」
「俺もないな…みんなないよね、そうだよね(笑)」といった感じに…!
まず、このワークの難しいポイントは3点あります。
-
5人チームで、一人の持ち時間は4分という短い時間設定
-
ほとんどの人が「座右の銘」を持っていない状態からのスタート
-
メンバーの話す体験から、座右の銘を当てなければならない
さらに、ワークとしては2回目でチームの関係性もまだまだ浅いため、発言に緊張するメンバーも少なくありません。
さて、どうする?
私は正直、〈現段階では若干ハードルが高い…?少し設計に無理があるのでは…〉と思ってしまいました。
しかし、ある学生はメンバーへこう言いました。
「このワーク、ちょっと難しすぎるから、《みんなで大切にしている価値観を伝え合って、座右の銘をつけ合う》ってやり方にするのはどうかな?」
私は素直に、なるほどね~!と思い、画面の前で感嘆の声を上げてしまいました。
そういうワークアレンジもあるのかという驚きも大きかったですが、
最も興味深かったのは「難しいからどうしようもない、仕方ない」という方向に行くのではなく、
『目的からは逸れない形で、やりやすいだろう方法を考え提案する力』が発揮されていたことです。
では、「座右の銘あてクイズ」の目的とは何であったかをここで振り返りましょう。
『チームメンバーの考え方を深く知る&楽しむ』でしたね。
その目的から考えると、ある学生がチームに提案した「みんなで大切にしている価値観を伝え合って、座右の銘をつけ合う」というアレンジは、
①メンバーの考え方を知る、②楽しむ、この二点を満たす手段であると言えると思います。
ハマりやすい落とし穴
このワークに取り組む時、体験を話す側と答えを当てる側の両者が「座右の銘」に囚われすぎてしまうという〈落とし穴〉があります。
しかし、メインは「座右の銘」ではなく、『チームメンバーの考え方を深く知る&楽しむ』という目的にあります。
「座右の銘」を当てる重要性より、体験に対して「どうしてそう考えたの?」「なんかすごく共感!私もね…」と質問や共感によってコミュニケーションが促進され、互いを深く知り合うことの方が、重要度は高いはずです。
つまり、手段が何であるかは最重要ではないのです。
大切なのは『目的』に立ち返り、今のチームの状態を把握して、どんな手段が有効なのかを考え、ちょっとの勇気で行動に移してみることではないでしょうか。
キャラバンでは、短い時間で様々なワークに取り組みます。そのため「時間内にやり切らなければ…!」という気持ちにもなりがちです。
現に、私が大学2年生で参加した際、そう感じていました。
けれど、「本当にそうなの?」と、過去の私に問いかけたいと今は思います。
目的はすぐ目の前ではなく、もう少し先へ目を向けたところにあるものかもしれません。
このワークアレンジが提案されたチームでは、最終的に「座右の銘を考える時間を数分取る」という方法を追加してワークを行っていました。
実際にアレンジはしませんでしたが、能動的に「どうしたら乗り越えられるか」を考えたことに、価値があると思います。
難しいワークは問題か?
また、このような一連の出来事に対して「そもそもワークの設計を変更していれば、全員が混乱することなくスムーズに取り組めたのではないか」と感じる方もいるかもしれません。
果たして、そうでしょうか?
難易度が高いワークであることは、問題なのでしょうか。
私は、難しいワークにこそ狙える効果もあるのでは、と思います。
対象者の状態に適した難易度の高さである必要はありますが、易しいワークだけでは生まれうる効果が限られてしまいます。
今回のワークの目的は『チームメンバーの考え方を深く知る&楽しむ』ことでした。この目的がそのまま、生み出したい効果であると言えます。
しかし、生まれた効果はもう一つありました。それが学生によるワークアレンジ提案です。
厳密に言うなら、『困難に出会った時、自分たちでどう乗り越えるかを考える』機会になったという効果がありました。
つまり、このワーク一つで二つの効果を生み出せる。まさに一石二鳥だったというわけです。
一石二鳥、三鳥を狙いにいく
私は大学3年生でリーダーシップ・キャラバンの学生運営を務め、設計に携わっている早稲田大学の高橋俊之先生にお世話になったのですが、その際も「ワークを設計する時は、一石二鳥、三鳥を考えることが大切」とフィードバックをいただいていました。
その時から、この言葉は大切な教訓となりました。
実践するのは難しいですが、その視点があるのとないのとでは、ワークの設計が変わってくると感じています。
したがって、「座右の銘あてクイズ」では、『困難に出会った時、自分たちでどう乗り越えるかを考える』という裏目的が存在していたと言えます。
そして、一つのワークに複数の目的を内包させる時に重要なのは「伝え方にこだわること」であると思います。
難易度は少し高いまま、そこを乗り越えるための行動を考えるチャンスとしてワークを届けるのであれば、
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目的とその意図をしっかり伝えたうえで、細かいやり方はあえて提示しない
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やり方を考える時間をチームで取るように促し、所要時間を少し伸ばす
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「座右の銘なんてない!そういう人がほとんどだからこそ、このワークは難しいですよね。その難しさにどう対応していきますか? やり方のアレンジは自由なので、そこから考えてみましょう!」とメッセージを届ける
など、ワークの設計はもちろんですが、それと同じくらい〈どう伝えるか〉ということにも意図をもってこだわることができるだろうと思います。
困難こそチャンスになる
また、プロジェクトワークが始まれば、さらに時間はタイトになります。
今回のキャラバンでは、学生に「鬼のようなスケジュール」と言われるほどでした(笑)
けれど、難しいということは困難の要因ではあっても、不可能な要因ではありません。
リーダーシップとは、困難に出会った時「さて、どうする?」を仲間と考え行動していく力なのではないでしょうか。
そして、コンテンツを設計する際には、学生の困難を想像し、それを取り除くのではなく「困難を乗り越えるチャンス」をどのように作るか、届けるかということに頭を働かせることが重要だと思います。
私が発見した、リーダーシップ・キャラバン初日、チームビルディングの様子は以上です。
3回目のキャラバン参加ですが、視点を変えるだけでこんなにも新たな気づきを得られるのかと、私自身も驚いております。
またレポートをアップしますので、ぜひお楽しみに!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
みなさんの日常生活のなかで役立てられるヒントになっていたら、とても嬉しいです。