
株式会社イノベスト
Draw your mind
アイディアを引き出し、描こう
第2号 PMチームはどのようにして形成される?
目次:
1.PM形成のポイント⑴:相互理解を深める&関係構築を楽しむ
2.PM形成のポイント⑵:「健全な衝突」を促しpM状態を防ぐ
3.実際にはどんな「健全な衝突」が起きた?
4.PM形成のポイント⑶:Pを高める議論プロセス検討
5.PM形成のポイント:まとめ
6.おわりに

皆さん、こんにちは!
リーダーシップ・キャラバン2022、レポーターのいまりです。
今回は、”PMチームはどのようにして形成される?”をテーマに、レポートをお届けします。
PM状態のチームとは、日本の社会心理学者、三隅二不二(みすみ じゅうじ)が1966年に提唱したPM理論に基づき、Performance(課題達成機能)・Maintenance(集団維持機能)が共に強いチームを指します。長期&短期的な成果が高く、メンバーの満足度が高いチーム状態であると言われています。
3日間を通じて、PM状態のチームはどのように形成されたのか。どんなことが学生に好影響をもたらしたのか。
今回は、アイスブレイク、プロジェクトワーク、振り返りの3つに着目し、PM形成のポイントだと考えられる事を3点にまとめました。
PM形成のポイント⑴:相互理解を深める&関係構築を楽しむ
1つ目のポイントは、最初のアイスブレイクの段階で個々のキャラクターを受容し合えることです。
個々のキャラクターを受容し合うことによって自分らしさを出し合えるチームの関係構築に繋がるためこれがとても重要となります。
例えば、本会では「お宝紹介ワーク」というアイスブレイクが行われました。チーム結成後、最初のワークです。
「お宝」と「エピソード」を話すことで自分らしさが自然に共有される仕組みになっており、PM形成のポイント⑴を抑えていると思います。
実際に学生は、思い思いのお宝をチーム内に共有し、思い出や大切にしている理由を語り合っていました。好きなものについて話していることもあり、どのチームも笑顔で、笑い声が聞こえてくるほど盛り上がっているチームもありました。
特に印象的だったのは、初対面にも関わらず「お宝」や「エピソード」について聞き手のメンバーが質問を投げかけていたことです。そこから共通点が見つかったり、さらにお宝エピソードの共有に熱が入る学生もおり、まさに相互理解が深まった時間になりました!
これらを踏まえると、初日のアイスブレイクは、PMでいうと特にM(メンテナンス)状態の向上へ大きな効果を与えていたと思います。
ZOOMワークの様子
PM形成のポイント⑵:「健全な衝突」を促しpM状態を防ぐ
要は、M(メンテナンス)は高いがP(パフォーマンス)の課題達成機能が低い『pM状態』にならないために、「反対意見」を言える、すなわち「健全に衝突できる」環境が必要ということです。
例えば、「仲は良いけれど、だからこそ反対意見が言いにくい」場合は『pM状態』であるといえます。
本会では、健全に衝突できるチームづくりを促進するために「コンセンサスゲーム」が実施されました。
<ゲーム概要>
ある場所への旅行を計画中の皆さんは、ガイドを1人つけることにしました。
候補のガイドは5人。チームで話し合い、全員が納得する形で優先順位を決定してください。
ゲームの概要はこのようになっています。多数決は禁止です。
このゲームを行う理由は、学生が反対意見を共有した上で合意形成をする体験をするためです。
実際に、個人で決めた順位をチーム内で共有すると、見事にバラバラでした。
その後「どうしてこの人を1位にしたのか」「逆に、なぜこの人は最下位なのか」など理由を共有していきました。あるメンバーにとってはそれが「反対意見」となりますが、不穏な空気にはなることなく、進めていきます。
学生が一番頭を悩ませていたのは、チームとして優先順位をつけるためのまとめ方です。
ですが、次第に「まずは基準を揃える」ということが必要だと気づき、「楽しめること」や「専門的知識が聞けること」など、チームとして最も大切な基準を決め、それに沿った優先順位付けを行っていました。
おそらく、人それぞれ異なる理由でガイドを選んでいることが、意見交換で分かったのでしょう。
「どうしてすれ違うのか、それは大事にしていることが違うからだ!」という気づきは、反対意見が交わされて、健全な衝突が行われたからこそのものだと私は感じます。
このワークは、いわばプロジェクトワークでも反対意見を言い合えるように打った布石です。
実際に、その効果は現われたのか。印象に残ったシーンを抜粋してお伝えします。
実際にはどんな「健全な衝突」が起きた?
まず、今年度のプロジェクト課題はこちらです。
「実現したときに思わず涙がでてしまうほどうれしい
メンバーが抱える問題を改善する起業プランを提案してください」
本会のプロジェクトワークは、一つの提案を作っていくために、まずはメンバーが抱える問題を複数共有し、その後一つに絞るという流れで進みました。
問題の選定基準を決定する議論のなかで挙げられたキーワードは、「共感できるもの」「万人受けするもの」など。言葉も一致していて順調かと思いきや、あるチームの学生サポーターが切り込んだ質問をしました。
「万人受けって何を指している? それはスタートなの、ゴールなの?」
すると、「確かに、何を指すものとして認識していたんだろう?」と考え始め、
ある学生は「スタートだと思っていたかも。まずは今多くの人が共感する問題がいいかなって」と発言し、
また反対にある学生は「私はゴールだと思う。自分たちが情熱を注げるかどうかって絶対に提案に現れる。最終的に万人受けされるものであることは大切だけど、今は自分たちの解決したい想いを優先していいんじゃないかな」と発言しました。
このような議論を経て「チームメンバーが馴染みのあるテーマをピックアップする」という基準が設定されました。
このシーンで起きたのは、学生サポーターの介入をきっかけにした「反対意見の共有」だと考えます。
決してチームの雰囲気も悪くなることなく、お互いの意見に耳を傾け、納得できるポイントを探し結論を出せたところを見ると、これこそ「健全な衝突」であると言えると思います。
また、このチームはその後の議論でも、認識のすり合わせを大切に進めている印象でした。
「ちょっと待って、わからなくなってきた。ここまで戻って考え直したい!」などの発言が、当たり前に交わされ、それに対して他のメンバーが「伝えてくれてありがとう」と感謝を言葉にする場面もありました。
反対意見にも感謝できることは、PMにおけるM(メンテナンス)状態が高いことを表していますし、実際にこのチームは本選に出場しました。もちろん、結果だけが全てではありません。しかし、MだけでなくP(パフォーマンス)も高いチームであると言えると思います。
PM形成のポイント⑶:Pを高める議論プロセス検討
要は、提案内容だけでなく、P(パフォーマンス)を高めるためさらに効果的な議論の進め方がないか考え、試してみるということです。
例えば、あるチームの振り返り中一人の学生が
「雰囲気は満点。けど、〇〇だけに進行を任せるのではなく、みんなで発言したり役割分担しながらやれたら、もっといいものが作れると思う!」と発言していました。
その後、一人ひとりが得意・不得意を共有し、全メンバーの役割を明確化させていました。
結果的には、進行役か否かに関わらず、全員が自分の役割を意識して能動的に思考し発言する環境に変容することができたようです。
また、そのチームは一度ではなく都度都度チームの状態やメンバーの特性をメタ認知して、プロセスを良いものにしながら進めている印象でした。そしてこのチームも、本選へ出場しました。
PM形成のポイント:まとめ
要は、下記の3点にまとめられます。
⑴相互理解を深める&楽しむ関係構築による、M(メンテナンス)の向上
⑵「健全な衝突」を促し『pM状態』になることを防ぐ
⑶P(パフォーマンス)を高めるために議論のプロセスを検討する
このポイントの活用法を考えると、
例えば、⑴を取り入れるならアイスブレイクこそ絶好のチャンスだと、私は思います。
ただ、⑵⑶は少し難しいかもしれません。
なぜなら、チーム活動のなかでは、衝突を怖がってしまっている状況も生まれやすいからです。
最終日の振り返り中、あるチームのメンバーは、議論の進みが早く意見を言い出せなかったり、「このままのやり方で進んで大丈夫なのか」というモヤモヤをなかなか打ち明けられなかったと発言していました。
言い出しにくい意見が共有されたら、「健全な衝突」が生まれ、提案内容の中身が深まったかもしれません。(ポイント⑵)
「このままのやり方で進んで大丈夫か」という議論のあり方へのモヤモヤは、P(パフォーマンス)をさらに高める議論プロセス検討のきっかけになったかもしれません。(ポイント⑶)
ではどうすればよいのか。答えは一つではありませんが、相互理解が深く自分らしさを出せる環境作りによるM(メンテナンス)の向上も一つカギになるとは思います。
つまり、今回まとめたPM形成のポイント3点は、単体ではなく、掛け合わせによって効果を発揮すると私は考えます。
また、この3つのポイントはあくまで私の考察であり、他にも様々な考え方や手段があると思います。よかったら皆さんもこれまでの経験を思い出し、考えてみてください。
おわりに
私が発見した、リーダーシップ・キャラバン2022「アイスブレイク」「プロジェクトワーク」「振り返り」の様子は以上です。
またレポートをアップしますので、ぜひお楽しみに!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!